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October 30, 2004

題詠マラソン→完走

本日「題詠マラソン2004」に090:木琴~100:ネットを投稿いたしました。完走です!

090:木琴
向き合ひて木琴を打つきやうだいの一人は生者ひとりは死者か

091:埋
埋葬のごとく思想を塩田に隠したのちの大石良雄

092:家族
南京町では蒸籠に幾重にも家族をかさね詰め込んでをり

093:列
データベースはいつしか闇に蝕まれ行を産む行、列を産む列

094:遠
遠つ淡海と近つ淡海はあさぼらけ視えぬ水路でつながつてゐる

095:油
小麦色の小麦を知らず肉体に黄金(わうごん)色の油を塗布す

096:類
苔類の蒐集に似た片恋をあきらめたれば萩咲いてをり

097:曖昧
曖昧な生を許さず地の涯に頸斬らるとも晴朗であれ

098:溺
あをによし奈良は幻視の都にて奔馬が雲に溺るゝことも

099:絶唱
隆起せるジム・モリソンの絶唱にあらゆる胞子はじけやまずも

100:ネット
一九九〇年のきららかないしぶみとなれ吐息でネット

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October 27, 2004

題詠マラソン2004→6

本日「題詠マラソン2004」に071:追~089:歩を投稿いたしました。大詰めです。

071:追
ミサイルに追はれる夢を見続けてダブルベッドはもう水びたし

072:海老
十一代海老蔵の眼を搭載し故郷を目指す軍事衛星

073:廊
戦争が廊下の奥からゆつくりと分裂しつゝ歩きはじめる

074:キリン
東京へ自転車で行く計画もキリンレモンの泡の所為です

075:あさがお
にじいろのあさがほが咲く誘惑といふ言葉には手が含まれる

076:降
降る雪を辿りて天に昇りつゝ名曲喫茶ライオンの夜

077:坩堝
坩堝より天の瓊矛がすくひとるしずくふたつを絵島生島

078:洋
『西洋道中膝栗毛』なる文庫本古びて棚に積まれてゐたり

079:整形
幼児期の音の記憶に刻まれたパルナス・タカスギ・はぎや整形

080:縫い目
縫い目より漏るゝ血と肉印象派なら言ふだらう斧琴菊(よきこときく)と

081:イラク
オーケストラは分裂す大きい方がイラン小さい方がイラクに

082:軟
水に硬軟のある世界をあとにして三途の川を流れる純水

083:皮
羊皮紙にギリシャ語で書く戯れ歌にモーゼが海を渡ることなど

084:抱き枕
抱き枕との隙間を無くすことなどを愛と呼んだら大げさだらう

085:再会
刎頚の竹馬の友よ再会を約すことなど忘れてました

086:チョーク
黒板と黒板拭きと黒板拭きクリーナーとがチョークを責める

087:混沌
混沌を泳ぎきつたら太陽の中で焼き尽くされてゐました

088:句
尽忠の俳句は措きて百首もの歌を詠まむとあくがれ出る

089:歩
なべて世は鼓腹撃壌桑海に巨人の一歩いま印される

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October 26, 2004

題詠マラソン2004→5

本日「題詠マラソン2004」に061:高台~070:にせものを投稿いたしました。

061:高台
高台寺に屯する車夫前の世は新選組か奇兵隊士か

062:胸元
胸元を涼しく保つ老嬢の玻璃を好むと見ゆる炎昼

063:雷
森厳と光のなかを火星から土俵へ降りる大関雷電

064:イニシャル
イニシャルを互ひの腕に彫りつけた日の愛(かな)しさを知る旭日旗

065:水色
水色は翼の色か二千年前十字架に下りた小鳥の

066:鋼
墨色と鋼色との境界を金魚はすすむ尾から消えつゝ

067:ビデオ
ビデオデッキの底に棲みつく女優らの霊が唄ひぬ「宮さん宮さん」

068:傘
傘連判状とは湿りやすきもの懐中にあるときはうごめく

069:奴隷
奴隷海岸にはどのやうな海あらむ大魚の骨はいかに曳かれむ

070:にせもの
にせものの木犀の香で大部屋を満たせるほどの電力が欲し

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October 23, 2004

題詠マラソン2004→4

本日「題詠マラソン2004」に051:痛~060:とかげを投稿いたしました。

051:痛
いつまでも痛がるひとを休ませてカラスのをらぬ三千世界

052:部屋
黒人に銀の靴下のみ穿かせ部屋の四隅に燭支へさせ

053:墨
烏蝶来てより墨を磨りはじめ一日(ひとひ)を紙の上に遊ばむ

054:リスク
歓びといふ字の意味を知った日は腕(かひな)の中に建つオベリスク

055:日記
「私といふケーキ」と書いて削除したウエブの日記は三日で断たる

056:磨
手と足は溶けるにまかせ達磨師の思惟といふべきもの極北へ

057:表情
無表情ゆたかに因島からもロックバンドの出で来る日々か

058:八
たとふればバオバブの根かいつまでも酒吸ひ上ぐる八岐大蛇

059:矛盾
言の葉の飛び火してゆくユーラシアすべての道は矛盾に通ず

060:とかげ
うつくしくちひさくあれと掌中の玉は変じてとかげとなりぬ

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October 18, 2004

『無敵の俳句生活』

俳筋力の会というグループ名で出した俳句入門書です。
ずいぶん前に出版したのですが、最近読売新聞に書評が載りました。
素直にうれしいです。

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題詠マラソン2004→3

本日「題詠マラソン2004」に041:血~050:おんなを投稿いたしました。ちょうど半分ですが、時期的にそろそろスパートしないとやばいです。

041:血
血がみどり色になるまで定型といふ名の虚偽をこころざすなり

042:映画
モノクロの森くろぐろと繁茂して映画はエッフェル塔の配下に

043:濃
美濃国大垣を行く軽騎兵かばんに詰めた海を担いで

044:ダンス
ダンスフロアは疾く回転す金鶏の金の卵を中心にして

045:家元
家元が家元を産むぬばたまの闇夜は光合成も休みで

046:練
草原に兵を練りつゝ夕空に焼き尽くされる遠景の富士

047:機械
この機械孔雀は二十年モノで記憶装置はカセットテープ

048:熱
宮中にしみ込んでゆく熱帯夜もうすぐ雲の奇妙なかたち

049:潮騒
巻貝を耳にあてれば潮騒が再生されるさあ咲きなさい

050:おんな
議事録に残されてゐる範囲では浅丘ルリ子が最もをんな

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October 17, 2004

題詠マラソン2004→2

本日「題詠マラソン2004」に028:着~040:ねずみを投稿いたしました。

028:着
着順でほぼ決まる恋 散る花と雨滴を纏ふ列車は地下へ

029:太鼓
破れてしまふほどこの大気ふるはせて太鼓打つなり春を祝いて

030:捨て台詞
(捨て台詞とはad libの謂)
捨て台詞ひろひあつめてきやうげんにつみあげてゆくつるやなんぼく

031:肌
肌脱いで牡丹・観音・鯉などに陽を当ててゐるうららかな陽を

032:薬
丸薬は糖に包まれ式典を待つかに壜に詰められてをり

033:半
全身に三下り半を書きつけた青年僧を鐘に匿う

034:ゴンドラ
錦秋の運河をすべるゴンドラを野辺の送りの煙が追ひぬ

035:二重
ひきぬけば十色に光る宝剣の二重らせんを思ふけだもの

036:流
たましひも二つに斬られ人間があとかたもなくなる示現流

037:愛嬌
コーヒーと0円で買ふ愛嬌をベッドの中へお持ち帰らむ

038:連
ソビエト連邦は北極を抱きしめる原子炉に印刷機をつないで

039:モザイク
モザイクの床に拡がる体液の赤と白とが混じる祝言

040:ねずみ
どぶねずみ色の空から落ちてくる雨の最初の滴が唇に

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